海外に居ながら離婚交渉や離婚届の提出は可能?
1 海外に滞在しながらの離婚交渉
今回のコラムでは、離婚を希望する夫(又は妻)が海外、対する妻(又は夫)が日本に在住している場合における離婚交渉のご依頼について取り上げたいと思います。
①自分が海外に居ながら、相手方との離婚交渉を進行させることができるのか、②交渉が整った場合、離婚協議書に自分が署名押印しなくてはならないのか、③海外に居ながら離婚届をどのように用意するのか、④さらに提出はどうすればいいのか、などのご質問をよくいただきますので、以下、個別にご説明させていただきます。
2 海外に居ながら離婚交渉は可能?
ご依頼人様が海外に滞在している場合であっても、日本の弁護士に離婚交渉の依頼をしていただき、その弁護士が代理人として、相手方と離婚に関する交渉を進めていくことは何ら問題なく可能です。
当サイトでは、海外からご依頼いただいた場合、ご依頼人様との打合せはZoom等のビデオ通話を用いるなどの方法により、国内からのご依頼と変わらない形でコミュニケーションを取らせていただいております。
3 離婚協議書は自分で署名押印が必要?
相手方との交渉の結果、離婚交渉が整った場合、通常、離婚届の提出とは別に、財産分与や養育費などの各離婚条件を記載した離婚協議書を作成することになります。
離婚協議書は他の契約書(売買契約書など)と同様、同じ内容のものを2通用意し、お互いに署名押印します。
この離婚協議書に署名押印をする際、ご依頼人様ご自身で署名押印する必要があるか(≒国際便での郵送や帰国の必要があるか)につきましては、弁護士が代理人に就いている場合は、弁護士名での署名押印により問題なく離婚協議書を取り交わすことが可能です。
4 海外にいる場合の離婚届の準備は?
日本にいる場合、最寄りの区市役所・町村役場の住民課などで離婚届用紙を受け取る形が通常かと思われます。
他方、海外在住の場合は、①現地の大使館や総領事館などに赴いた上で受領する方法のほか、②日本の市区役所や大使館が提供しているウェブ上の離婚届用紙をダウンロードし、プリントアウトする方法もあります。もっとも、この場合、A4サイズ2枚でプリントアウトする方法は不可とされており、A3サイズ1枚でプリントアウトする必要がありますので、注意が必要です。
なお、当サイトでは、③当サイトで離婚届用紙を取得、または、相手方から相手方欄記載済みの離婚届を受領の上、海外にいらっしゃるご依頼人様宛にEMSなどの国際郵便で送付することにも対応しております。
5 離婚届の提出方法は?
ご夫婦双方が必要事項を記載、署名押印をして完成した離婚届の提出方法ですが、①海外に滞在している場合には、現地の大使館や総領事館で提出をすることが可能です。もっとも、その場合、離婚したことが日本の本籍地役場にある戸籍に反映される時期がかなり遅くなる(滞在国によりますが、通常短くとも1か月以上)ため注意が必要です。
なお、当サイトでは、②海外在住のご依頼人様にご記載いただいた離婚届をEMS等の国際郵便で当サイトにお送りいただいた上で、本籍地役場に離婚届を郵送で提出するなどの方法にも対応しておりますで、①の方法よりも早期かつ確実に離婚届を提出し、戸籍に反映させることも可能です。
また、万一、離婚届の記載内容などに不備などがあった場合、ご依頼人様の代理人として区市役所・町村役場からの連絡にも応対しております。
6 海外に居ながら離婚交渉、離婚届を提出することができます
実際には一部の例外はございますが、以上のとおり、海外に居ながらご依頼の上で離婚交渉を進め、離婚協議書を取り交わし、離婚届を提出することは可能です。
また、ご夫婦間で紛争がなく、離婚条件の合意がほぼできている場合であっても、実際には、離婚協議書や離婚届で法律上確認するべき事項は多岐にわたりますので、何かご不安やお悩みがございましたら、ぜひ当サイトにご相談ください。